『日本刺繍の始祖・吉備真備公』
日本刺繍軸装 野村國俊 1980年制作
染め上げた15色の糸を、様々に縒り合わせることにより、30色を超える色を表しています。細部の及ぶ糸の変化と緻密な針使いは、細密画の筆到を思い起こさせます。
(美しいキモノ・誌上ギャラリー「野村國俊・江戸刺繍の輝き」評より)
代々当家に「元禄時代に再表装」と、軸裏に書かれた「吉備公座像」の掛軸がありました。
しかし東京大空襲の際、本郷で戦災に会い焼失してしまいました。いつか刺繍で吉備公の軸を繍ってみたいと思い続け、吉備公の誕生の地・岡山の菩提寺へ家内(まき)と訪ねました。
吉備寺杉岡敏雄住職に小堀先生作の参考資料を拝見させて戴き、この繍軸を制作しました。(詳しくは野村國俊出版「刺繍の祖神・吉備公の史跡を訪ねて」をご覧下さい。)
また、毎年11月に東京刺繍協同組合主催で神田明神社に於いて組合員出席の上、吉備祭を取り行っております。(野村國俊)